腹部超音波検査とは
腹部超音波検査(腹部エコー)とは、人が聴くことができない高い周波数の音波(超音波)を用いて臓器を見る検査です。腹部に検査用のゼリーを塗り、超音波を発信するプローブ(探触子)を当てて、跳ね返ってくる反射波を画像化して診断します。受け取る超音波信号は、何に当たったかによって変わるため、モニター画像で、内側の様子を鮮明に知ることができます。腫瘍をはじめ、脂肪肝、胆石、胆のうポリープ、腎のう胞、腹水など、様々な病気を発見するのに適した検査です。毎年受診することで、生活習慣から起こり得る所見の変化を観察することもできます。ただし、消化管ガスの影響や体型によって、画像の描出が難しいことがありますので、描出できた範囲内での評価となります。検査は15分前後と短く、痛みもありません。
超音波検査の利点
- 身体への負担が少なく多くの情報が得られる
- レントゲンやCTのように被曝の心配がない
- 短時間で行うことができる
- リアルタイムの画像を見ることができる
腹部超音波検査の対象となる方
肝臓、胆のう、胆管、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈などが検査対象となる臓器で、以下のような場合に検査が検討されます。
腹部超音波検査の対象となる方
- 肝機能の異常を指摘されている
- 脂肪肝を指摘されている
- 胆のうポリープを指摘されている(1センチを超えると手術の適応になります)
- 右の脇腹に痛みがある(胆石が疑われます)
- 腹痛の原因を知りたい場合
- 腎臓の病気や尿管結石などが気になる場合など
腹部超音波検査でわかる病気
腹部超音波検査は、肝臓、膵臓、腎臓の腫瘍をはじめ、脂肪肝や結石など生活習慣病と関連が強い所見も発見できます。一方、超音波が入りにくい部位があり、とくに膵臓は奥深い場所に位置するため観察しにくくなります。
肝臓にみられる所見
肝血管異常、肝血管腫、脂肪肝、肝腫瘍、肝内石灰化、肝内胆管拡張、肝内胆管結石、肝のう胞、慢性肝障害、肝硬変など
胆のう・胆管にみられる所見
- 胆のう
- 胆のうポリープ、胆のう炎、胆のう結石、胆のう気腫、胆のう腫瘍、胆のう腺筋腫症、胆のう腫大、胆のう壁肥厚など
- 胆管
- 胆管拡張、胆管結石、胆管気腫、胆管腫瘍、胆管壁肥厚など
膵臓にみられる所見
膵管拡張、膵萎縮、膵腫大、膵炎、膵腫瘍、膵石、膵のう胞、膵のう胞性腫瘍など
腎臓にみられる所見
腎萎縮、腎盂拡張、腎血管筋脂肪腫、腎結石、腎腫瘍、腎のう胞、多発性のう胞腎、腎のう胞性腫瘍、腎石灰化など
腹部大動脈・その他
腹部腫瘍、腹部大動脈瘤、リンパ節腫大、胸水、腹水、石灰化、脾腫、脾腫瘍、脾のう胞、脾のう胞性腫瘍、虫垂炎、腸重積、卵巣腫瘍、子宮筋腫など
腹部超音波検査の方法
- 検査時間は15分程度になります。※観察状況により所要時間は前後します。
- 基本的に、診察台に仰向けに寝て行われます。検査によって横向きや座った状態で行われることもあります。
- 胸部から下腹部まで観察するため、腹部を十分に出していただく必要があります。ズボンやスカートは、下着と一緒に腰骨位置まで下げていただき、上半身は、胸の下までまくり上げ、腹部が観察できるように準備していただきます。
- 超音波の通りを良くし、きれいな画像を描出するために検査用のゼリーを腹部やプローブに塗ります。(ゼリーは機械で温められています)
- 超音波を発信するプローブを腹部に当てて、モニター画像で腹部臓器の様子を観察していきます。検査中は、観察しやすくするためプローブを軽く押し当てたり、体の向きを変えたりします。また、息を吸ったり、吐いたりした状態で息止めをお願いすることがあります。(臓器を見やすい位置に動かしたり、肺や消化管ガスの影響を少なくしたりするためです)
腹部超音波検査の注意点
- 検査前日
- 21時までに食事を済ませてください。21時以降、就寝前までは水やお茶などの制限はありません。
- 検査当日
-
- 検査は一般には午前中に行います。朝食は摂らずにお越しください。
検査後はすぐに食事を摂ることができます。
- 体を締め付けるガードルやボディースーツなどは身に着けず、楽な服装でお越しください。
- 常用しているお薬がある方は事前にご相談ください。